りは☆びり

労働で破壊された脳のリハビリです

24-1

週末30分で振り返るブログ。更新ハードルを下げていきたい。
新年第1週。映画をけっこう見た。
NHKで放送してた『リズと青い鳥』、映画館で『RRR』、自宅で北野作品初期4作の計6本。
「リズ青鳥」は公開時期に出町座で見て以来で、見たとはいってもテレビから垂れ流してるのをベッドで寝ながら横目にって感じ。女という生き物がよく分からないので、女が集まっていちゃいちゃする百合の良さもどうも分からない。焼き鳥のねぎまのように、竿役がそれぞれの間に挟まっていてくれたほうが楽しいのにと思っちゃう。男が作る百合の花園は、均衡した小宇宙のような、いわば箱庭を眺めるような楽しみがあるのは何となく分かる。それは童貞が抱いた妄想の楽園だし、俺も共犯者的にその世界観に乗っかってやることができる。問題は女性が作った場合だ。特に山田尚子監督作品はディティールに凝っているので、どこまでがリアルなのか分からず、うかつに妄想乙と片付けられない。そのくせ男にも分かるようなフェティシズムをもって、かわいさの中に色っぽさを挿し入れるので、なおのこと焦点を失って戸惑ってしまう。話としてはシンプルな映画だけど、細かい部分を丹念に描いて、しかも百合的な雰囲気であふれているので、「わから~ん」と頭を抱えたまま終わってしまった。わから~ん…
『RRR』は逆張り根性で見るつもりがなかったが、ちょっと素直になろうと思って観に行った。3時間の濃密な映画体験で絶賛されるのも頷ける一方で、モロに解放闘争の話だったので、侵略国家の生まれとしては見ていて気まずい気持ちにもなった。序盤のナートゥ踊ったり、大量の動物とともにイギリス軍を襲撃するところまでは、勢いもあってエンタメ的に楽しめた。鋼の錬金術師や、ゴールデンカムイの、大トロの部分だけを食べているような気分だったけど、INTERRRVALあたりから様相が変わる。ビームはドラクエで出てくるような棘付きの鞭で打たれて皮膚を裂かれても故郷の歌を歌い続けて民衆に訴えかけるし、ラーマは投獄されて歩行不能になるまで足を痛めつけられても懸垂で己の肉体を鍛えることを止めない。すべては解放闘争のため。ラーマの懸垂シーンで隣の観客がクスっと笑っていたが、とても笑えない凄みを感じた。そして無能で傲慢な英国軍を完膚なきまでに打倒し(これもエンタメなら有能な宿敵を出すものだが、せいぜい総督の勘とエイムが良い程度で、鬼畜英帝の見せ場はとことん排除される)、最後は、作中には出ない歴史上の革命闘争の英雄たちの巨大な顔を背景に勝利の舞を踊り続ける。「RRRサイコー!」みたいなこと言ってる日本人の何割が、日本軍をボコボコにして、安重根とかの顔を背景にチマチョゴリを着た人々が生き生きと踊る映画を笑って見れるか。まあ俺は結構笑っちゃうかもしれないけど。まあ『RRR』もイギリスでウケてるし、ここまで勢いがあると案外みんな笑っちゃうかもな。
北野映画はどれも結構面白かったが、評判通り、やっぱり『ソナチネ』が頭一つ抜けていた。というか前3作の集大成みたいなところもあった。『その男、凶暴につき』で見せた、ドライで瞬発的な暴力と、無音で凄みのある演出。『3-4x10月』の、荒唐無稽でコント的な笑いと壮絶な暴力の、シームレスな往復。『あの夏、いちばん静かな海』の削ぎ落された会話とキタノブルー。ただソナチネは終始の死の香りというか、タナトスがべっとりと貼りついた息苦しさがあり、「好きな映画といえばこれ!」と言うにはあまりにも重苦しかった。沖縄の浜辺で、北野が演じる村川達ヤクザは、ロシアンルーレットをしたり、紙相撲のマネをしたり、フリスビーを銃で撃ったり、つまらない遊びを楽しそうに笑って興じる。だけど本当は何も楽しくないし、狂わないように何かして遊ぶことで誤魔化しているにすぎない。そんな消化試合を延々と繰り返す。『南極料理人』で、雪面にかき氷のシロップでダイヤモンドを描いて、観測隊の面々が野球に興じるシーンがある。あれも勿論、野球として楽しんでいる側面もありはするだろうが、結局はレクリエーションをしないと狂ってしまうから開催しているのだ。観測隊は1年先の交代期まで耐えればいいが、極道の村川は死ぬまでその消化試合を強いられる。別に沖縄の一件が無事に片付いたところで、結局は東京で似たような状況になるだけだ。だから別に死んでもいいという気分で、だけど狂ってはいないので自殺はしない程度に、村川は遊びに銃を持ち出す。そして結局、気に入らない身内のヤクザ幹部を皆殺しにしたとこで、その茫漠とした虚無からは逃げられないと改めて悟ったとき、とうとう自分のこめかみに拳銃を突きつけ、引き金を引いた。

あ!もう30分だ。今週はほかにエロ漫画の模写をちょっとやったりしたよ。ばいば~い。